次世代の抗貧血薬
昨日の続きです。
Hematideですが、Affymax社のホームページを開くと、
トップページにリード開発品としてHematideが紹介されており、期待の大きさがうかがえます。
Hematideのルーツとなる研究は1996年6月のScience誌に発表されました。
▽Small peptides as potent mimetics of the protein hormone erythropoietin. Science. 1996 Jul 26;273(5274):458-64.
この研究では、ランダムファージディスプレイ法を用いて、エリスロポエチン(EPO)受容体に結合してこれを活性化する14アミノ酸のペプチドを同定することに成功しています。
Hematideはこの研究を土台にして誕生しました。
Hematideには以下のような利点があります。
◇効果が1ヶ月以上持続する
Hematideはペプチドをペグ化してあり、第1相試験の結果から、1回の注射で赤血球を上昇させる効果が4週間以上持続することが確認されています。
◇赤芽球癆患者にも投与可能
稀ながら、Hematideではなく、組み換えEPOの投与で赤芽球癆(Pure Red Cell Aplasia)という重篤な副作用がおきることがあります。
赤芽球癆は、EPOに対する抗体が原因で赤血球の形成が低下する病態です。
EPOとHematideのアミノ酸は全然違いますので、EPOに対する抗体はHematideに交差反応しないことが分かっています。
したがって、赤芽球癆の患者にもHematideは使用できると考えられます。また、Hematideが赤芽球癆を起こすことはないと考えられます。
赤芽球癆の患者にとってはHematideは非常に有用な薬剤となるでしょう。
◇免疫原性が低い
Hematideに対する免疫原性は低く、自己抗体が出来てHematideが効きにくくなるという可能性も低いようです。
昨日のメールではAmgen社やJ&J社が開発パートナーになる可能性を示唆しましたが、最近、日本の武田薬品が早々とAffymax社と提携を結びました。
▽Affymax社と武田薬品 日本でのHematideの開発で提携
今後は提携の話が活発になっていくでしょう。第2相試験が終了した段階でAmgen社とJ&J社がどんな対応をとるか非常に関心があります。またRoche社もからんでくる可能性もありますし、これまで貧血市場には縁がなかったビッグファーマが提携を求めてくるかもしれません。
この辺の動きにはアンテナを張っておこうと思います。
以上、Affymax社のHematideについてでした。
【参考】
Affymax社はHematide以外にもインターロイキンなどのペプチド類似薬を同定しています。
Hematideの研究成果も含め、これまでの学会発表や文献データが以下一覧となって表示されています。
学会発表のポスターなどもダウンロードできてとても便利です。関心のある方はどうぞ。
----------------------------------------------------
【BioTodayの商品・サービス】