脳の微細構造の研究の意義
以下の研究で、
▽紡錘状顔領域は顔の認識だけをしているわけではない
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=14852
著者等は以下のように結論していますが、
Overall, our approach provides a framework for understanding the fine-scale structure of neural representations in the human brain.
脳の微細環境を解析するよりも「どのようにして顔を認識する神経ができあがったのか?」や「その神経の顔認識メカニズム」を調べた方が面白いと思う。
たとえば顔を認識する神経はどこにあったって同じ機能をはたすだろうから、進化上、なにかの理由でたまたまFFAにあつまったというだけで、その場所を詳しく調べることは進化を研究している人にとっては面白いかもしれないけど、脳の機能や知能を調べている人にとってはさほど重要ではないと思う。
今回の研究がとても有意義なのは、顔に選択的に反応する領域が同定されたということであり、この領域の神経の仕組みと顔以外の物体を認知する神経の仕組みの違いを明らかにすると“親密さ”を振り分けるアルゴリズムとかが分かってくるんじゃないかと思いました。
おそらく、ヒトはヒトの顔によく触れるから顔を認識する神経が独立して発達したのであって、たとえば一切ヒトの顔を見ることなく毎日自動車を見て育った人はもしかしたら顔を認識する神経が車を認識する神経に置き換わるかもしれない。
たぶん、生きるうえで人間にとって顔の認識はとても大事なので、顔を認識することに特化した神経が出来上がったのではないかと思います。だから、この顔認識神経を調べると、大事な事を認識してその違いを把握する基盤が理解できるのではないかと思います。
もっと言うと、そもそもはFFAは物体認識領域であったのが、人はヒトの顔を見て判断・行動することがとても重要なので、物体認識神経回路の一部が強化されてヒトの顔の認識に特化するようになったのではないかと思います。
なので、顔認識神経とそれ以外の物体を認識する神経の機能の差を調べると「物体を見て重要度に応じて判断・行動する」ことの基盤となるアルゴリズムが見つかるのではないかと思いました。
そして、もしそんなアルゴリズムが見つかった場合、そのアルゴリズムは視覚だけでなく、その他の感覚にも共通である可能性が高いとも思います。