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どう社会の要請に応えるか?

今日初めてメルマガを読む方、はじめまして。いつも読んでいただいている方いつもありがとうございます。

今年の5月30日に、大日本製薬(現、大日本住友製薬)が開発した多機能モニタ心電計「レーダーサーク」が国内で承認されました。

http://www.biotoday.com/view.php?n=7519

なぜ製薬会社の大日本が?と当時疑問でしたが、2005年12月の日経サイエンス( http://tinyurl.com/8kvoa )を読んでその理由がよくわわかりました。

レーダーサークには大日本製薬が開発した心電図波形解析ソフト「フラクレット」が使用されています。

このフラクタルは、ACE阻害剤・セタプリル(一般名:アラセプリル)」の独自の薬理作用を証明するために開発されたソフトです。

薬が実際に使用されるのは主に覚醒時です。しかし、このフラクレットが開発される前は、麻酔下で基礎実験が実施されていました。というのも、体動がノイズとなって邪魔になるので、覚醒時には実験がしずらかったからです。

覚醒時の生体信号を評価できるようにするため、大日本製薬の研究者等は1万例以上の動物データを解析して、体動をリアルタイムに分離して生体信号を解析できるソフトを作りました。このソフトが「フラクレット」です。

以後フラクタルはジェット戦闘機操縦中のパイロットの緊張度の評価をきっかけにして、様々な分野で応用されています。

その応用先の一つがレーダーサークです。

日経の記事を読むと分かりますが、レーダーサークの承認までの道のりは平坦ではなかったようです。

しかし困難にもめげず、救急現場からの要請や、小さないのちの会の主宰者・坂下氏との出会いなどに後押しされて、「一企業の枠を超えた社会の要請」と確信して開発を進めたそうです。

レーダーサークの開発に携った大日本製薬の永田氏は日経サイエンスの「ものづくりとは?」という質問に対して以下のように回答しています。

『「フラクレット」も「レーザーサーク」も、どうしたら売れるかという目先の目的ではなく、どう社会の要請に応えるかという思いが、研究開発への原動力となっています。

用具は人の役に立つと、たんなるモノからいのちを持った道具になり、それを人間が使うことによって、さらに時代を発展させる「ほんもの」が生まれる。

その循環の中に身をおけることは研究者として喜ぶべきことですし、そうした意義のある研究・開発をさせてくれる会社には誇りを持っています。』

日経サイエンスの12月号には永田氏の写真も掲載されています。寺田農似のハンサムな方です(と妻に言ったらあまり似ていないと言われましたので似ていないかもしれません)。

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