抗肥満薬・Rimonabantは抗肥満薬ではない
今日発行のJAMA誌に、Sanofi-Aventis社が開発中の抗肥満薬・Rimonabantの2年間の臨床試験成績が発表されています。
Rimonabant高用量投与群での1年目の体重低下量は6.2kgとたいしたことありません。しかも、1年目でRimonabantを服用をやめると、2年目に体重がリバウンドするという結果となっています。
このように、抗肥満薬として期待されているRimonabantの体重低下作用は実はたいしたことありません。
しかし、
体重低下作用はたいしたことがないのですが、今回発表された試験でも明らかなように、Rimonabantは心血管代謝リスクファクターを良好に変化させる作用があります。
すなわち、Rimonabantを服用し続けると糖尿病患者の血糖コントロールを良好に保てたり、高リスク患者の2型糖尿病、脳卒中、心臓発作といった心血管疾患を予防できる可能性があります。
したがって、ほんの僅かの体重低下作用ではなく、より効果が明確で重要度も高い“心血管代謝疾患予防薬”としての側面を強く打ち出した方がこの薬剤は成功するでしょう。
実際、
ClinicalTrials.govで確認したところ、2型糖尿病患者を対象にしたRimonabantの第3相試験が2006年1月に始まっています。
また、心血管リスクファクターを有する肥満患者を対象にして、Rimonabantの脳卒中、心臓発作の予防作用を調べる第3相試験が去年の12月に始まっています。
この2つの試験でポジティブな結果が得られ、心血管代謝疾患の予防薬という効能が得られれば、Rimonabantは莫大な売上げを上げることができるでしょう。
多くのアナリストのRimonabantのピーク売上げ予想は30億ドルです。強気のアナリストは50億ドルを超えると予想しています。
もし心血管疾患の予防という適応と糖尿病患者の血糖コントロール改善という適応がとれて安全性に問題がなければ、Rimonabantの売上げは、Pfizer社のLipitorぐらいは達成できるのではないかと私は思います。
Pfizer社の予想では、2006年のLipitorの売上げは130億ドルを超えるとのことです。
今後は体重低下作用以外のRimonabantの効果を示す臨床試験結果が発表されるようになります。
その結果を見れば、この薬剤がどれほどのブロックバスターになるかが見えてくるでしょう。この薬剤の実力の見せ所はこれからです。
▽神経工学投資ニュースレター 2005年10月31日号 特集:肥満
現在の肥満治療を取り巻く状況や抗肥満薬の開発の歴史と展望をイメージすることができます。
明日の前書きでは、米国のバイオベンチャー・Synta社で副社長として活躍されている古屋圭三様からのメッセージを紹介します。
明日の前書きは必見です。お楽しみに!!
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