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2006年03月02日

Elan社の多発性硬化症治療薬・Tysabri(Natalizumab、ナタリズマブ)のFDA諮問委員会の開催間近

Elan社の多発性硬化症治療薬・Tysabri(Natalizumab、ナタリズマブ)がいよいよ2006年3月7日にアメリカFDAの諮問委員会でレビューされます。

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2006年03月01日

取り外し不要の移植型コンタクトレンズ

UT Southwestern Medical Centerのプレスリリースで、STAAR Surgical社の眼球埋め込み型の近視矯正レンズ・VISIAN ICLが昨年末にアメリカで承認されたことをはじめて知りました。

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2006年02月28日

本日発行の医学誌にArch Intern Medが初登場

今日の「本日発行の医学誌」はArch Intern Medです。初登場!

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2006年02月27日

プラセボはパーキンソン病患者のドパミン分泌を促進する

前回の前書きでお知らせしましたとおり、今日はパーキンソン病に対するプラセボの意外な効果についてお知らせします。引用文献はこのニュースレターの一番最後の部分に記しています。

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2006年02月25日

プラセボの実質的な効果

昨日の続きです(文中で引用した文献はこのニュースレターの最後の「前書きの引用文献」の欄に記しています。+αつきです)。

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2006年02月24日

プラセボの効果

◇プラセボでの反応率高し

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2006年02月23日

ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした

最初に、長時間BioToday.comへのアクセスが不通となり、大変申し訳ありませんでした。

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2006年02月22日

ファイザー社会長兼CEOハンク・マッキンネル氏の著書の日本語版が出版された

◇期待の抗肥満薬・Acomplia(Rimonabant)に対してFDAから承認見込みが通知されました。最終承認に必要な要件が明らかになっておらず、どの程度の情報が要求されているのかは不明です。

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2006年02月20日

アミロイド斑に群がるマイクログリア

先日の注目記事で骨髄由来のマイクログリア細胞が脳のアミロイド斑を除去する作用があるという報告を紹介しました。

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2006年02月18日

次世代の抗貧血薬

昨日の続きです。

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2006年02月17日

コンピューターだけでなく、薬品開発でもバックアップが重要

昨日のSynta社の古屋様からのコメントはいかがでしたか?

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2006年02月16日

抗肥満薬・Rimonabantは抗肥満薬ではない

今日発行のJAMA誌に、Sanofi-Aventis社が開発中の抗肥満薬・Rimonabantの2年間の臨床試験成績が発表されています。

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2006年02月14日

タバコ会社のマーケティング

「タバコなんざ、ガキや貧乏人に黒人、あとはバカに吸わせておけ(悪魔のマーケティング)からの引用」というスタンスでマーケティングを実行してきたタバコ業界ですが、その本質は今も変わっていないようです。

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2006年02月11日

両生類の皮膚からエイズ特効薬

今日の医学ニュースで、ウイルスの膜に作用してHIV感染を防ぐ物質について紹介していますが、この研究を実施したバンダービルト大学のDerya Unutmaz助教授は以下のような研究も実施しています。

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2006年02月08日

コミュニケーションの滝登り

昨日(http://report.biotoday.com/236.php)の続きですが、以前紹介したエーザイのお客様相談窓口は1年間休まず365日電話を受け付けており、社会とのコミュニケーションを積極的に図っています。

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2006年02月07日

企業PRのあるべき姿

ちょっと古いですが、2005年12月5日の日経ビジネスに、米バーソン・マーステラの創業者にして会長のハロルド・バーソン氏の企業PRに関する見解が掲載されています。

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2006年01月20日

丸山征郎教授からありがたいコメントを頂きました

先日、鹿児島大学 医歯学総合大学院大学 血管代謝病態解析学の丸山征郎教授から以下のコメントを頂きました。

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2006年01月16日

ミツカンは心にもやさしい

さて、「酢は血糖値を下げる」というミツカンの研究成果を今日のメルマガで紹介しています。

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新年に耳を傷める人々、それを治療する人

さて、中国の祭りの映像などでは必ず爆竹がみられたり、結婚式などではクラッカーが鳴らされたりと、人間はめでたいときには大きな音をたてることが好きなようです。

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2005年12月24日

物語のような研究

昨日は、物語のような構成をした医学文献のアブストを読みました。

このメルマガの医学関連ニュースの1つ目の記事「緑茶製品で寛解を達成したB細胞性腫瘍4人の症例報告(http://www.biotoday.com/view.php?n=10764)」がその物語のようなアブスト構成の文献です。

この文献は、Mayo ClinicのKay NEの研究グループによる報告です。以下がこの報告のアブストラクト部分の抜粋です。

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Kay等は緑茶成分の抗癌作用について調べており、緑茶中のポリフェノール・epigallocatechin gallate (EGCG) は、慢性リンパ性白血病(CLL)患者から採取した白血病B細胞に細胞死を誘導する作用があるという研昨成果を去年3月のBlood誌に発表した。

この報告をうけて、多くの白血病、リンパ腫患者が緑茶成分が入ったOTC製品を服用するようになった。

実際にMayo Clinicの患者の中にも、独自に緑茶製品の服用を開始した患者がおり、研究者等は、独自に(勝手に)緑茶製品の服用を始めた患者の病状を調べてみた。

すると、緑茶製品の使用により実際に症状が改善している患者がいるとわかった。

このような事例は、緑茶ポリフェノールの使用方法や有効性を検討する臨床試験の必要性を強調している。

既に、アメリカNCIがスポンサーとなって、Kay氏主導の下で緑茶抽出物の第1/2相試験がMayo Clinicで始まっている( http://tinyurl.com/9afo3 )。

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基礎研究→事例研究→NCIの資金サポートゲット→臨床試験という流れが、まるで種を撒いてその芽が出るまでの過程を記すようにアブストにまとまっており、研究成果が臨床応用されていく過程がよくわかってとても興味深かったです。

この流れはバイオベンチャーの活動にとても似ています。「NCIの資金サポート」の部分を「投資家からの資金調達」に置き換えれば、バイオベンチャーの活動そのものになります。

つまり裏を返せば、

自分の成果を臨床に応用したいと思えば、バイオベンチャーのように「資金を得る」ためのビジネスや経営センスが医学研究者にも必要となってくるのです。

これまでにも何度か書きましたが、研究の意義を知ってその研究成果を実用化するための資金を得るには、まず自分が属している経済社会の規模や仕組みを知る必要があります。

自分が属している経済社会を知らなければ、研究成果は陽のあたらないところに永久に葬り去られるか、研究成果の価値を知っている人に搾取されるだけでしょう。

詳しく知る必要はないかもしれませんが、自分の研究を取り巻くビジネスを大雑把に把握することは自己防衛の一つであり、自分の価値を高めることに繋がっていく筈です。

楽しいクリスマスを!

わるいやつら

今日初めてメルマガを読む方、はじめまして。いつも読んでいただいている方いつもありがとうございます。

TransTech Pharma社が化合物スクリーニングテクノロジー・TTP Translational Technologyの使用でベーリンガーと提携しました。

Merck社やNovo社などとも提携しており、なかなか有望なスクリーニング技術のようです。

特に、プレスリリースの解説では技術に採用しているソフトウェアが強調されており、そのへんに大手の製薬会社をひきつけている秘密がありそうです。

TransTech Pharma社のコンタクト先は以下の通りです。

Adnan Mjalli, PhD., 336-841-0300, ext. 101
Fax: 336-841-0333
Email:amjalli@ttpharma.com

さて、

韓国の幹細胞スキャンダル( http://www.biotoday.com/view.php?n=10648 )ですが、足を洗おうとしていた米ピッツバーグ大のシェラルド・シャッテン教授も大学から追求されており、問題が深刻な場合には、減俸、停職、研究費の支給停止などの処置がとられるようです( http://tinyurl.com/b5nk2 )。

シャッテン教授はこんな人↓です。悪そうにはみえないです。
http://newsbureau.upmc.com/Bios/BioSchatten.htm

悪そうには見えないのですが、シャッテン教授と韓国の研究者等に間には賄賂性の高い資金供与の疑いもあり( http://tinyurl.com/cytg3 )、この問題はかなり根深いようです。

コメントにも書きましたが、Woo-suk教授はスケープゴート的な存在で、実は背後で巨悪が存在しているような感じがします。

松本清張の「わるいやつら( http://tinyurl.com/b7hqx )」が頭に浮かびました。

上記の朝鮮日報の記事はle papillon de nuitさんに教えていただきました。le papillon de nuitさん、いつも有益な情報をありがとうございます。

続報がありましたらお知らせ頂ければ幸いです。今後ともよろしくお願いします。

抗癌ウイルス

今日初めてメルマガを読む方、はじめまして。いつも読んでいただいている方いつもありがとうございます。

Onyx社とBayer社の腎細胞癌治療薬・Nexavar (sorafenib) がFDAに承認されました。

Onyx社といえば抗ウイルス・ONYX-015が有名なのですが、この名前を知っている人はもう少なくなっているかもしれません。

ONYX-015の開発の歴史は以下に詳しく載せています。

http://www.biotoday.com/view.php?n=555

Onyx社は後にPfize社に買収されることになるワーナーランバート社とONYX-015を共同開発していたのですが、Pfizer社による買収で提携が解消されてしまいました。

その後XOMA社と組んでONYX-015の生産量を上げるなどの努力をしていたのですが、結局大規模製造方法の確立もうまくいかず、ワーナーに代わるパートナーも見つけられずで、開発中止となってしまいました。

XOMA社が大量生産工程をはやく確立すればパートナーを見つけられたんじゃないかと思っているのですが、それは叶いませんでした。当時は「XOMA社サボるな!」とか思っていましたが、本当に大量生産は難しかったのかもしれません。


さて、


Nexavarが承認されたわけですが、ファイザー社の競合品・Sutentが発売される前にできるだけシェアを獲得しとこうという意気込みがプレスリリースからも伺えます。24時間以内に患者のもとに薬が届くようにするというのですから。

このへんの根回しは相当時間かけたのではないかと思います。

ファイザー社のSutentは8月に承認申請され、プライオリティレビューの対象になっています。したがって、来年の前半には承認される可能性があります。

営業の規模からいってもファイザー社の方が上でしょうし、しかもSutentの方が効果も優れているようです。

先に発売することはできたものの、Sutentが承認されればNexavarは来年かなり苦戦を強いられそうです。

こういう場合のOnyx、Bayer軍がとるべき戦略はどういう方法が考えられるのでしょうか?

ちょっと考えた結果、いっそのことPfizer社とアライアンスを組んじゃえば良いのかなと思いました。

真っ向勝負しても勝てそうにないので、併用の効果を調べる市販後臨床試験を実施して抱き合わせ販売すればシェアも伸びるかなと。

天下をとった気分

今日初めてメルマガを読む方、はじめまして。いつも読んでいただいている方いつもありがとうございます。

無料プレゼントした「神経工学投資ニュースレター 2005年8月15日号 特集【脳卒中】」に多数の方からコメントいただいています。

読者の方から私の商品について意見を伺うのは今回が初めてことで、予想はしていたものの、あまり有用性を感じないというコメントをもらった時には相当へこんでいます。

一方、それに呼応するかのように好意的なご意見も頂いており、その時には天下を取ったような気分になっています。

否定的なコメントで落ち込んで、好意的なコメントで天下をとった気分になり、という精神的に浮き沈みの激しい日々です。

今後は、頂いたコメントを参考にして、サイトやメルマガをより一層充実したものにしていきたいと思います。

さて、以下は、昨日頂いたコメントの中で、天下をとった気分にさせてくれたものです。

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私は日系製薬企業の工場で製造技術に携わっております。四六時中世界の
情報を集めて分析・統合し、企業戦略を立案する部門とは言えないないも
のの、かといって新鮮な情報は既存のプロジェクトを進める上で(あるい
は今後新しいプロジェクトを立ち上げていく上で)必要不可欠であること
に変わりはありません。

情報のニーズとしてはそれなりに度合いが高いといえます。

投資家や企業情報戦略をターゲットとし、新しい情報を提供している本
ニュースレターについても、情報の新鮮さと信頼度の高さは上位のレベル
に達していると感じました。

私らが手がける既存のプロジェクトの情報に関しては(中身を見なければ
真の価値を判断しがたいというリスクはありますが)、2千円程度であれ
ばポケットマネーより迷わず購入するのではないかと感じた次第です。

情報にはノイズが必ず存在し、そうでない有益な情報がいくつか組み込
まれていれば、価値は高まると言うことを述べたかったのです。ただし、
それを判断できるのは、結局購入者(読者)それぞれのニーズなのです。

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皆さんからのコメントを頂いて私は一人じゃないと実感しています。

一人で出来ることは限られているかもしれませんが、皆さんの協力があれば無限にいろいろなことができるという可能性を感じているこの頃です。

必要な人の所に、必要な情報を届けられるようにあせらずに商売していきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

神経工学投資ニュースレター 2005年8月15日号 特集【脳卒中】

どう社会の要請に応えるか?

今日初めてメルマガを読む方、はじめまして。いつも読んでいただいている方いつもありがとうございます。

今年の5月30日に、大日本製薬(現、大日本住友製薬)が開発した多機能モニタ心電計「レーダーサーク」が国内で承認されました。

http://www.biotoday.com/view.php?n=7519

なぜ製薬会社の大日本が?と当時疑問でしたが、2005年12月の日経サイエンス( http://tinyurl.com/8kvoa )を読んでその理由がよくわわかりました。

レーダーサークには大日本製薬が開発した心電図波形解析ソフト「フラクレット」が使用されています。

このフラクタルは、ACE阻害剤・セタプリル(一般名:アラセプリル)」の独自の薬理作用を証明するために開発されたソフトです。

薬が実際に使用されるのは主に覚醒時です。しかし、このフラクレットが開発される前は、麻酔下で基礎実験が実施されていました。というのも、体動がノイズとなって邪魔になるので、覚醒時には実験がしずらかったからです。

覚醒時の生体信号を評価できるようにするため、大日本製薬の研究者等は1万例以上の動物データを解析して、体動をリアルタイムに分離して生体信号を解析できるソフトを作りました。このソフトが「フラクレット」です。

以後フラクタルはジェット戦闘機操縦中のパイロットの緊張度の評価をきっかけにして、様々な分野で応用されています。

その応用先の一つがレーダーサークです。

日経の記事を読むと分かりますが、レーダーサークの承認までの道のりは平坦ではなかったようです。

しかし困難にもめげず、救急現場からの要請や、小さないのちの会の主宰者・坂下氏との出会いなどに後押しされて、「一企業の枠を超えた社会の要請」と確信して開発を進めたそうです。

レーダーサークの開発に携った大日本製薬の永田氏は日経サイエンスの「ものづくりとは?」という質問に対して以下のように回答しています。

『「フラクレット」も「レーザーサーク」も、どうしたら売れるかという目先の目的ではなく、どう社会の要請に応えるかという思いが、研究開発への原動力となっています。

用具は人の役に立つと、たんなるモノからいのちを持った道具になり、それを人間が使うことによって、さらに時代を発展させる「ほんもの」が生まれる。

その循環の中に身をおけることは研究者として喜ぶべきことですし、そうした意義のある研究・開発をさせてくれる会社には誇りを持っています。』

日経サイエンスの12月号には永田氏の写真も掲載されています。寺田農似のハンサムな方です(と妻に言ったらあまり似ていないと言われましたので似ていないかもしれません)。

パーキンソン病の細胞治療

BioTodayの清宮です。今日初めてメルマガを読む方、はじめまして。いつも読んでいただいている方いつもありがとうございます。

さて、今日の注目記事はパーキンソン病の細胞治療に関するニュースです。

GDNFを分泌するヒト神経前駆細胞をドパミン神経を損傷したラットの脳内に投与したら、運動機能が改善したという結果となっています。

成長因子を分泌する細胞の脳内への移植は有望ですが、人に応用する場合、果たしてどうやって脳内に細胞を送り込むか?

脳の切開して細胞を移植するのが一番正確かもしれませんが、それでは患者への負担が大きすぎます。患者さんのことを考えたら望ましい移植方法とはいえません。

ではどうしたら良いかというと、おそらく心血管ステント設置に使われているようなカテーテルを用いて脳内の適切な部位に細胞を“設置”する方法が望ましいのではないかと思います。

昨日発売した「神経工学投資ニュースレター 2005年8月15日 特集:脳卒中」では、脳に使用するカテーテルの最新技術動向を解説しています。

これまでは、細胞を脳に移植するには切開するしかないと思っていましたが、このレポートを読んで細胞移植にも脳カテーテルが使えるかもしれないと閃きました。

異業種の最新の技術動向が、自分の専門分野に生かせることがあるという良い例だと思いました。

神経工学投資ニュースレター 2005年8月15日 特集:脳卒中

戦争が引き裂いた仲

【戦争が引き裂いた仲】

さて、昨日Schering社とSchering-Plough社のことに触れましたら、何通かメールを頂き、両社の関係についてさらに詳しく知ることができました。

メールありがとうございました!

沿革はシェリング・プラウ株式会社の以下のURLに掲載されていました。

http://www.schering-plough.co.jp/company/spkk/spkk_enkaku.html

1928年にドイツのSchering社のアメリカ支店として設立された後、戦後に、連合国にアメリカ支社が財産を没収され、その後民間に払い下げられ、後にプラウ・インクと合併してSchering-Ploug社が誕生したとのことです。

アメリカのMerck社も元を辿るとドイツのMerck社が起源のようです。

Schering-Plough社と同様に、ドイツMerck社のアメリカ支社が戦後に没収され、競売によって現在のMerck社が誕生しました。

恥ずかしながらドイツMerckとアメリカのMerckの関係についても今まで知りませんでした。

大変勉強になりました。

次から前書き2パート目です。

【Arena社が抗肥満薬・APD356の第2相試験で良好な結果】

「神経工学投資ニュースレター 2005年10月31日号 特集:肥満」で注目の会社として取り上げられたArena社が抗肥満薬・APD356の後期第2相試験の結果を発表しました。

最高用量(20mg/日)の12週間(3ヶ月)投与で体重がおよそ3.5kg低下しました。

3ヶ月という短期間で3.6kg低下は良い結果なのではないかと思います。また、キチンと用量相関性が認められています。

抗肥満薬といえばSanofi-Synthelabo社の抗肥満薬・Acomplia(rimonabant)ですが、Acompliaは1年間の投与で体重が平均9.8kg減っています。

http://www.biotoday.com/view.php?n=2817

長期試験でAcompliaぐらいの体重低下を達成できれば、APD356は大変期待できると思います。

初期第2相試験の結果が2005年10月18日に発表されましたが、この結果を見てAPD356にがっかりきた人も多かったのではないかと思います。

http://www.biotoday.com/view.php?n=9769

初期第2相試験のAPD356の投与量は1、5、15mgでした。この結果15mgでしかプラセボと有意差がつきませんでした。

Arena社はこの初期第2相試験の結果を受けて、用量をあげて10、15、20mg/日で後期第2相試験を実施しました。

この戦略が功を奏し、後期第2相試験では良い結果が得られました。投資家の信頼も回復して株価も上昇しています。

さて、APD356は長期服用すればするほど体重が減るのでしょうか?

初期第2相試験では15mg/日の4週間投与での体重低下量が1.3kgでした。今回の後期第2相試験では15mg/日の12週間の投与で2.6kg低下でした。減量スピードは落ちていますが、投与数週間で体重低下が頭打ちということはなさそうです。

この結果を受けて、Arena社はFDAと第2相試験終了時面談を実施し、来年には第3相試験を開始する予定です。

Arena社は「神経工学投資ニュースレター 2005年10月31日号 特集:肥満」で詳しく解説しています。

http://neurotech.biotoday.com/#obesity

2005年12月15日

ドイツのSchering社とアメリカのSchering-Plough社

さて今日はSchering社がドイツの会社の50%の株式を売却したというニュースがありました。

http://www.biotoday.com/view.php?n=10605

これまでScheringとSchering-Ploughって似ているがなにか関係があるんだろうか?と疑問に思っていました。

たまたまネットでSchering社を調べてみたら以下のようなページがありました。

http://www.Schering.com/

「Schering AG とSchering-PloughはどちらもErnst Scheringによって設立された。しかし現在2社は完全に独立しており、いかなる関係もない」

Schering社とSchering-Plough社って関係あるのかどうかわからなかったのですが、このページを見て関連があったんだとわかりました。

なぜ2つの会社を作ったか?、なぜ完全に分離しちゃったのか?など、新たな疑問がわいてきました。ご存知の方いましたら教えてください。

さて、神経工学投資ニュースレター 2005年8月15日号 特集:脳卒中は明日発売します(発売しました)。

プレゼントに応募された方には今日の夜から明日までに送信します。感想をおまちしています。

2005年12月14日

BioTodayが築いたもの

昨日の神経工学投資ニュースレター無料プレゼントに多数のお申し込みを頂きました。

同時に、たくさんの励ましの言葉を頂き、とても嬉しく思っています。

頂いたコメントは、WEB上で匿名で紹介させていただきます。

頂いた中でも、特に感慨深かったコメントを以下に紹介します。

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BioTodayの最新情報は、他社開発状況を知るうえで、有効に利用させていた
だいています。中枢領域の担当ではありませんが、200○年○月までは、○○
薬品が実施してきた開発化合物、殆ど全ての安全性評価に従事していました
ので、関心は持っています。

清宮さんが、今日築き上げられた"もの"は大変なものであると理解していま
す。私の場合、業務上知りえた内容(特に安全性)について、公表できませ
んが、私と同じ立場で、BioTodayを活用しているヒトは多いと思います。

有難うございます。

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こちらこそありがとうございます。今後も最新の有益な情報をいち早くお届けできるように努力します。

最初に申し込み頂いた数名の方にはお返事をお送りしましたが、今日の記事数がとても多かったため他の方にお返事するのが遅れています。

これからお返事をお送りいたします。

今後ともよろしくお願いします。

BioTodayニュースレターの読者1万人突破

神経工学投資ニュースレターで有望な会社として取り上げられ、King社との豪華な提携までは順調だったPain社がここのところ揮いません。

Oxytrex(oxycodone)の第3相試験に失敗し、このたび過敏性大腸炎治療薬候補PTI-901の開発にも失敗しました。

パイプラインは充実しており、財源的にも問題ありませんが、持続型オキシコドン・Remoxyの開発に当面の社運がかかっているといえそうです。

RemoxyはKing社との提携の主要製品です。この製品の開発に失敗するとKing社との提携がパーになる可能性があります。

Remoxyの大規模第3相試験が来年1月にはじまる予定です。


さて、


Pain社の残念なお知らせに続き、とても嬉しいことがありました。

本日BioTodayニュースレターの読者が1万人を達成しました!

ここまでやってこれたのも皆さんの支援あってのことです。本当にありがとうございます。

1万人達成を記念して、神経工学投資ニュースレター「脳卒中」の無料プレゼントを実施します。

詳しくは次の、「神経工学投資ニュースレター「脳卒中」無料プレゼントのお知らせ」の部分をご覧ください(無料プレゼントは既に締め切りました)。

ありがたいメール

以下、昨日のメールで紹介できなかったありがたいメールです。

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清宮 様

いつも貴重な情報をありがとうございます。

多田先生のプログラムを拝見しました。
以前、私は会社の研究所におりました。当時は自ら定めた目標に向かって
猛進するだけで、決して豊かな研究ではありませんでした。会社で研究される
方々の多くがそう感じられているかもしれません。今は研究を管理する立場
ですが、商品創出と豊かな研究の両立について考えてみたいと思います。

また、研究員時代に愛用していたアイデアメモを久しぶりに開きました。
今の立場で何をできるかは別として、失いかけていた「何かを追求する気持ち」
を取り戻したいと思います。

私がBiotodayに入会させていただいて2年弱になりますが、本当に素晴らしい
サイトに成長されたと思います。これからもさらに発展されることを期待して
おります。私も自分の分野で頑張ります。では失礼致します。

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ありがとうございます!これからも私はがんばります。今後もBioTodayはますます成長していきます!今後ともよろしくお願いします!


昨日も読者の方からメールを頂きました。ありがとうございます。

とりわけありがたかったのは、癌患者さんのパートナーの方からのメールでした。

私のメルマガを延命治療の方法の一つとして使用されていたという内容のメールです。

私がメルマガで紹介している最新の癌治療の開発動向を知らせることで闘病への気持ちを奮い立たせ、免疫力を高めていたというのです。

思ったことを文章にするときには何らかの結論を出すように心がけていますが、こればかりはなんと言ったらよいかわかりません。

文章が病気の治療になるなんて、衝撃でした。目頭も熱くなりましたし涙もでましたしお腹も熱くなりました。背筋が伸びました。

とにかく、癌と戦う2人のご夫婦の姿が頭の中に思い浮かぶばかりでした。

読者の方に生かされている

こんにちわ。BioToday.comの清宮(せいみや)です。

一度も会ったことは無いのですが、最近ずっと考えているせいか、多田氏のことを随分前から知っているような感じになっています。なんだか不思議な気分です。

多田教授はホームページを開設されており、そこで近況が分かります。

http://www.rs.noda.tus.ac.jp/~immunol/tada/

12月4日のNHKの番組へのメッセージも以下のページに記載されています。

http://www.rs.noda.tus.ac.jp/~immunol/tada/mes.html

多田氏のホームページにある「今年も大勢の方のご好意で生かされてきました。」というのは、私も最近強く思うことです。

ここ数日、多田氏のドキュメンタリーを反射鏡のようにして私の思いを伝えてきました。その思いに対して読者の方から励ましのコメントを頂いています。

それらのメールを見ることで、私は読者の方に生かされていると痛感している次第です。

特に、昨日は2年前から会員を続けていただいている方からありがたいメールを頂きました。長くなりますので、明日、その方のメールを紹介したいと思います。

2005年12月07日

多田氏の笑顔

こんにちわ。BioToday.comの清宮(せいみや)です。

昨日紹介した多田氏のドキュメンタリーは今日の深夜0:15に再放送です。関心のある方はどうぞ。

昨日の文章はだいたいはあっていると思いますが、ちょっと違っている部分があるかもしれません。細部の違いについてはご容赦下さい。

今日は体調が優れないのですが、もしこれ以上具合が悪くならなければ再放送をもう一回見ようと思います。

ご覧になればお分かりになると思いますが、病気になられた後の多田氏の無邪気な笑い顔がとても印象深いドキュメンタリーです。

番組では以下のようなエピソードも紹介されています。

「研究者として、研究者が作り出した悪夢・原爆の悲惨さについてまとめてみたいとは思っていたけど、テーマが自分には重過ぎてずっとまとめることができずにいた。けど、脳梗塞を患って、原爆の被災者と同じ死の淵を経験したことで原爆の悲惨さを伝える能の台本を書くことを決めた。」

このエピソードに心打たれました。多田氏は多田氏にしかできないことをしたわけで、その点が感動的であり、非常に羨ましかったです。

仕事や人生はなかなか思うようにうまくはいかないものすが、どうせなら自分にしかできないことを生きているうちにやってみたいと思います。

そういう点で、半身不随でとてつもないハンデを負っているにも関わらず、自分にしかできないことをひょうひょうとこなしている多田氏がとてもうらやましかったのです。

今思えば、自分にしかできないことをして創造的な毎日を送っているという充実感があの笑顔に表れていたのかもしれません。

2005年12月05日

寛容で豊かな研究

昨日、免疫学者の多田富雄氏を特集したNHKスペシャルを見ました。ご覧になられた方も多いかと思います。

多田氏は、4年前に出張先の金沢で脳梗塞で倒れ、“生”の代償として右半身麻痺という重篤な後遺症を背負うことになります。

脳梗塞の後には生死の境をさまよい、何とか死は免れたものの、その変わり果てた姿、自由の利かない体に絶望し、何度も死のうと考えたようです。

脳梗塞で言葉も話せなくなりましたので、奥さんの手を指でなぞってその思いを伝えていました。奥さんは多田氏の指の動きをノートに記録しており、当初そのノートには「地獄」や「自殺」といった単語がたくさん並んでいました。

しかしある日、多田氏は麻痺した筈の右足の親指にかすかな感覚がよみがえるのを感じます。これをきっかけにして、彼は自分の体内に、自分以外の何者かが生まれようとしていることを実感します。

そして、その生まれようとしている何者かが何なのかを突き止めるために生きながらえようと決心します。科学者という客観的な視点から、脳梗塞後の自分の体に起きている新たな変化を克明に記録していこうと決めます。

つまり彼は、右足の親指の感覚をきっかけにして、脳梗塞前の多田氏とは違う新たな人格として蘇ったのでしょう。

新たな人格として生まれ変わった多田氏は、教え子達が参加するパーティーのスピーチで、奥さんの声を介して、世界中で活躍する教え子達に向かってこう言います(ちょっと実際の文言とは違うかもしれませんが、大意はあっていると思います)。


「寛容で豊かな研究をしてください。

寛容で豊かな研究とはどういうことかは、その反対を考えればよく分かります。

寛容で豊かな研究の反対は、ギスギスして貧しい研究です。

目先の利益にとらわれることなく、幅広い視点で研究をしてください。

寛容で豊かな研究をしていれば、やがてその成果は大きな本流となって、多くの支流がそこから生まれてくるでしょう。」


彼の家には今でも定期的に研究生が集まり、研究成果を報告しています。多田氏は、それぞれの研究成果に対して檄を飛ばします。彼は話せませんので、彼のアドバイスは予め機械に録音されています。例えばこんな風に。「オモシロイ、ケドソコデトマルナ」「ドンドンヤレ」

多田氏の教え子達を見ていると、彼が自ら本流を作り、その本流にどんどん支流が流れ込んだり、支流を作ったりしているのがよく分かります。

インタビューの中で彼は、脳梗塞で体が麻痺した今の方が「よく生きている」と答えています。彼は、体が不自由になったことで、通常は無意識で出来ることがいちいち考えないとできなくなってしまいました。そういう生活が、否応無く自分の体や精神に気持ちを向かわせ、生きることの意味を考えさせている
のだと思います。そして、そういう意識的な生活が、“よりよい生”を彼に与えているのでしょう。

多田氏はある意味一度“死んで生まれかわった”人です。昨日のドキュメンタリーを見て、一度死んだ人の言葉は重いなと思いました。脳梗塞で倒れる前の多田氏、家族を省みずに忙しい生活をしていた多田氏が「寛容で豊かな研究」なんて言っても、多分説得力はなかったでしょう。それが一度死んで蘇り、その言葉通りの生活をしているからとても説得力がある。

彼の言葉はとても心に響きました。私は研究はしていませんが、有限会社バイオトゥデイを通じて曲がりなりにもビジネスをしています。私のビジネスが果たして寛容で豊かか?お金ほしさに狭量な視野で物事を見ていないか?

多田氏のドキュメンタリーを見ていろいろ反省をしました。すぐに答えを出すことはできませんが、支流が自然に出来てくるような本流を作りたいと痛切に感じました。

このドキュメンタリーは明日の深夜0:15〜1:07にNHK総合で再放送される予定です。お勧めですので、見逃した方はぜひご覧下さい。


さて、神経工学投資ニュースレターの11月30日号が完成しました。

■神経工学投資ニュースレター 2005年11月30日号 特集:アルツハイマー病
http://neurotech.biotoday.com/#ad

今日から11月30日号を販売いたします。11月30日号の特集はアルツハイマー病です。このメルマガの最後の部分に目次と内容の抜粋をつけています。購入時の判断材料にしてください。

また、BioToday有料会員様とこれまでに神経工学投資ニュースレターを購入頂いた方には優待販売をしています。これまでに購入頂いた方にはメールで優待販売の案内を既にお送りしています。BioToday有料会員様は以下のページをご覧下さい(以下のページにログインできる方が有料会員様です)。

■【BioToday有料会員様】神経工学投資ニュースレター 2005年11月30日号の優待販売のお知らせ
http://www.biotoday.com/member/press/2005/12/_20051130.html

企業間提携でのロイヤリティーの設定

JAIC Asia Bio Network (JABN)さんと相互リンクをしました。

http://www.apbiotech-japan.com/j_default.asp

JABNは、アジアと日本企業に、バイオ・医療関連のビジネスパートナーをオンラインで紹介しています。アジアでの共同研究開発、マーケティング、契約パートナー等を探している方にはとても有用なサイトです。

また、会社間の交流だけでなく、アジア・日本間の人材交流の窓口として積極的に活動しています。

ところで、バイオベンチャーが成熟製薬企業とパートナー関係を構築するにあたっては、通常、アップフロント、達成報奨金、ロイヤリティーという形で金銭を得ることが多くなっています。

市場規模や新規性を初めとして様々な経済・環境要因を総動員して取引を進めていくのだと思いますが、すごいかけひきをしているんでしょうね。

実際に駆け引きをしたことがある方の話を聞いてみたいです。

さて、今回の注目ニュースでは、Ligand社の血小板減少症治療薬を取り上げています。

Ligand社はSB-497115の開発・販売でGlaxoSmithKline社と提携しており、ロイヤリティーの割合を以下のように設定しています。

--------------------------------------
1億ドルまで 5%
--------------------------------------
1億ドルから2億ドルまで 7%
--------------------------------------
2億ドルから4億ドルまで 8%
--------------------------------------
4億ドルを超える場合 10%
--------------------------------------

税金の累進課税みたいです。

「最初から10%を要請したら提携してもらえないかもしれない」といった場合の代替案として使えそうです。

だれでも思いつくかもしれませんが「まず、与えよ」という経済原理はロイヤリティー設定の場面でもしっかり機能しているようです。





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2005年12月03日

まずやってみよう

これまで、メチルトランスフェラーゼはメチル基より大きな化学基はDNAに付加できないと考えられてきましたが、今日の注目ニュースによると

「メチルトランスフェラーゼはメチル基より大きい化学基もDNAに付加できる」

みたいです。やってみないとわからないことって多いよなあと思いました。

今後は、注目ニュースで取り上げた技術が様々な遺伝子解析アッセイに使用されていくと思います。

さて、遺伝子解析にはRNA干渉がよく用いられるようになってきました。

Biocompare社の2005 Fall Purchasing Reportでは、55%の研究者がRNA/siRNAを使ってみたいと思っているという結果となりました。

http://biz.yahoo.com/iw/051129/0102414.html

昨年にも増して、RNAi関連研究はメジャーになってきているようです。

一方日本ではどうか?

ジェノファンクション(http://www.genofunction.jp/)の野沢社長は、自身のブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/inozawa1122/)で以下のような見解を述べています。

「日本ではRNAiに関する否定的なご意見をあちこちで聞きますが、このままでは、日本のRNA研究がますます遅れるのではないかと危惧しています。」

もしRNAiの有用性についてよくわからないという方がいましたら、野沢社長のブログやメールマガジンを読んでください。RNAiが研究でいかに幅広く活用されているかを知ることができます。

使えるものはとりあえず使ってみたほうが良いです。「やってみないとわからないことって多い」と思いませんか。

【参考】RNAi関連の本

2005年12月02日

寄生で免疫を規整

寄生虫の感染が一般的な国では喘息などのアレルギー疾患が少ないことが知られていますが、寄生虫がアレルギー反応を抑えているかはよくわかっていませんでした。

このたび、そのメカニズムの一端が解明されました。ヒントは、寄生虫の

“卵”

にありました。詳しくは無料メルマガ「BioTodayニュースレター」の今日の注目ニュースをご覧下さい。

今日の注目ニュースのほかに寄生虫とアレルギーに関する報告としては以下のような記事がBioToday.comに登録されています。

filarial nematodeという線虫が分泌するES-62は自己免疫疾患を治療する

寄生虫・住血吸虫属の免疫抑制作用を自己免疫疾患の治療に応用

蠕虫の卵を飲むことはクローン病の治療法として有望

住血吸虫を寄生させると喘息が改善する/マウスの実験(Free)

蠕虫寄生で誘導された調節T細胞はアレルギー性の気道炎症を緩和する

2005年11月30日

世界エイズデー

20年前にHIVウイルスを同定したフランスのInstitut Pasteurを含む官民の研究団体が、はしかワクチンを応用したエイズワクチンの開発プロジェクトを発足させました(注目ニュース参照)。

このプロジェクトには英国、フランス、ベルギー3カ国の研究者等が参加します。

さて、明日、12月1日は世界エイズデーです。

UNAIDSとWHOが公表した2005年版報告書によると、世界のエイズウイルス感染者は今年4000万人を突破しました。

日本では昨年1年間に新たにHIV感染者数が780件、エイズ患者数が385件合計1,165件が報告されました。初めて1,000件を突破し、いずれも過去最高となっています。

HIV感染のほとんどは、性的接触が原因であり、誰でも感染する可能性があります。しかも、長期間、自覚症状が殆どないため、気づかずにうつしたり、うつされたりする危険があります。

早期発見は、早期治療に結びつき、病状の重症化防止につながります。

また、HIV感染が予め分かっていれば、子供やパートナーにHIVを感染させることなく子供が授かれる可能性もあります(http://www.biotoday.com/view.php?n=5334

気付かないまま子供を産んでしまい、知らない間に子供にHIVをうつしてしまうというのは最悪だと思います。

エイズ検査は、全国の保健所で「無料」「匿名」で受けられます。

しかしながら、基本的には平日昼間など限られた日時にしか実施していませんし、立地条件もよくないことが殆どです。また、保健所そのものが日常生活に馴染みが薄いこと等から、多くの人にとってAIDS検査は敷居が高いものになっているかもしれません。

保健所や病院でのHIV感染検査は煩わしいが、感染の有無はチェックしておきたいという方には自宅で出来るHIV検査がお勧めです。もちろん匿名で実施できます。

STD研究所の「HIV検査」
http://tinyurl.com/9vep6

HIV感染の詳細情報「STD研究所」
http://tinyurl.com/cyojt

2005年11月29日

サイト作りは家作りみたい

今日は、WEBエンジニアと、BioTodayのサイト更新作業に関する相談をしました。

新しい家を建てるように、サイトもガラッと刷新する予定です。皆さんに使いやすいサイトになるようにがんばっています。

モノ作りでは何でもそうだと思いますが、ホームページ作りで最も重要なことは“これを実現したい”という強い思い(思考)です。

サイト作りを通じて、思考があってあって初めて人間は前に進めると痛感しています。

ナポレオン・ヒルの「思考は現実化する(http://tinyurl.com/eyq7l)」という言葉の意味をかみしめているところです。

ところで今日は、Merck社のリストラのニュースを注目ニュースとして取り上げました。Merck社は、全従業員の11%に相当する7000人をリストラするとのことです。

従業員にとってはキツい話ですが、Merck社の新CEO・Richard T. Clarkにとっては、「Merck社を再生させる」という“思考”を実現する上で必須のことだったのでしょう。

人それぞれに実現させたい思考は違います。

私の夢(=思考)は「ライフサイエンス分野で日本を代表するポータルサイトを作る」ということです。実現できるように力を尽くしたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。


【参考】ナポレオン・ヒルの“教え”を手っ取り早く吸収したいという方には以下の書籍がお勧めです。

マンガと図解で驚くほどよくわかるナポレオン・ヒル 成功哲学

以前もお知らせしましたが、この本は、以下のURLからナポレオン・ヒルプログラムの資料請求をするだけで無料で手に入れることが出来ます。

http://tinyurl.com/7awrp

2005年11月28日

便利な生活の代償

おはようございます。BioToday.comの清宮です。
久しぶりに今日は5時におきたので、朝にメルマガを発行しています。

さて、今日の注目ニュースはDuPont社が開発した食品包装に使うコーティング剤・Zonyl(ゾニール)に関する記事です(http://www.biotoday.com/view.php?n=10327)。

詳しくはこのメルマガの注目ニュースの欄をご覧頂きたいのですが、DuPont社がゾニールに関する重要な安全性情報を長い間隠蔽してきたという趣旨のニュースです。

たまたまゾニールが槍玉にあがっていますが、生活を便利にするために作られた人工の化学物質は多かれ少なかれ毒性があるのだと思います。

例えば、今日のメルマガではリップスティックや永久毛髪染料を使っている女性に自己免疫疾患の1つ・全身性エリテマトーデス(SLE)が多かったという研究成果も紹介しています(http://www.biotoday.com/view.php?n=10326)。

この原因物質は同定されていませんが、フタル酸や芳香族アミンが怪しいと考えられています。どちらも既にSLEとの関連が取り沙汰されている物質です。

企業は便利で一見良さそうな製品をどんどん開発してきます。我々消費者は、その製品がはたして安全なのかどうかを見抜く選択眼を養う必要があるのでしょう。

選択眼を養うことはなかなか難しいですが、販売している人の顔、つまりポリシーが見える会社から商品を購入するということは1つの賢い消費の方法だと思います。例えば化粧品を販売しているアースケアという会社は、どのようなポリシーで化粧品を作っているかを実直に説明しています(http://tinyurl.com/aga5s)。また、神戸市にある地球洗い隊という会社は、家庭にはびこる合成洗剤の危険性を訴えて、微生物の働きを応用した「とれる」という汚れ落としを販売しています(http://tinyurl.com/bj6wy)。

少なくとも、安全性情報を隠蔽するような会社の商品はできるだけ避けたいものです。

2005年11月26日

オメガ3脂肪酸で肺癌が治りつつある患者

今日のBioTodayニュースレターの注目ニュースはオメガ3脂肪酸で肺癌が治りつつあるという患者の症例報告です。

症例報告ですのでなんともいえませんが、医師はかなり戦略的にオメガ3脂肪酸の治療法を施したようです。

私が医師だったら、こういう症例報告は同僚の医師と議論してみたいなと思います。

ソニーグループの医療サイト・M3.comは、医師専用の掲示板を運営しています。

掲示板で最も人気が高かった質問は「ここだけの話あなたの年収いくらですか?」というもので、かなりくだけた議論がされているようです。

医師だけのクローズドな環境で話して見たい事柄がある方にはお勧めの掲示板です。

医師10万人が使うソニーグループの医療サイト・m3.comの医師専用掲示板

http://tinyurl.com/dlv22

2005年11月25日

ミラクルフルーツ

ナンジャタウンのカフェで提供されるスイーツに使用されているミラクルフルーツは(2005年11月25日BioToday)、有機栽培、完全無農薬でフィリピンで製造されています。

熱帯農林技術開発協会(TAFTDA)の協力を得てニームという無農薬栽培法もミラクルフルーツの栽培にも取り入れています。

TAFTDAは、田鎖浩という元商社勤務の男性によって設立されました。田鎖氏は、商社勤務中に、赴任先にフィリピンの貧困を目の当たりにし、なんとかしたいという思いで会社を辞めて独立します。

以来、地元住民に収入をもたらし、かつ森林を守る無農薬の循環型農業の実現に向けて取り組んできました。

田鎖氏の理念や活動はTAFTDAのホームページを見るとよく分かります。

東南アジアの圧倒的多数派のニーズは「繁栄に縁遠く見える人々のニーズに答え、一時しのぎではない支援」ですが、それに誰も答えていません。田鎖氏は循環型農業によってこのニーズを達成できると考えています。

現時点では「受益者の頂点は流通業界であり、生産者も消費者も恩恵が薄」く、「この状況がつつく限り、地域農林経済の疲弊傾向は改善」しません。

田鎖氏は、「地域の環境を活かし、安価な資材を使って、個人の自立、地域経済の自立を支援」すれば、「大多数が必要充分な経済基盤を持つ」社会を築けると考えています。

経済的基盤が出来れば、「子どもたちは、贅沢ではないけれど、必要充分な教育を受け、自分の望む道へ進」むことができます。田鎖氏の最終的な願いはこれのようです。つまり、子供達に必要十分な教育を受けさせることができれば、その社会は繁栄に向かうと信じて活動しています。

ナンジャタウンで提供されるミラクルフルーツのスイーツには田鎖氏のニームという無農薬栽培法も取り入れられています。ダイエットスイーツを食べながら循環型農業の実現について思いを馳せる、そんなことが出来るアミューズメントがナンジャタウン内に出来ても良いかなと思いました。

2005年11月24日

早起きは三文の徳

昨日のメルマガで、Pain社がOxytrex(oxycodone)の第3相試験でプライマリーエンドポイントを達成できなかったという残念なニュースを紹介しました(http://www.biotoday.com/view.php?n=10285)。

King社との提携で6ドル前半だったPain社の株価は8ドル以上に上昇しましたが、今回のニュースで6ドル台後半まで値下がりしてしまいました。

果たしてOxytrex(oxycodone)の第3相試験結果は本当に悪かったのでしょうか?

記事でも紹介していますが、ドロップアウトが多かったせいで有意差がつかなかっただけで、ドロップアウト率を考慮して臨床試験を再度実施すれば高確率で統計的有意差が得られるのではないかと思います。

Pain社の説明によると、King社との提携にも今回の試験失敗は影響しないとのことです。

したがって、今回の臨床試験結果を冷静に吟味し、Pain社に将来的な価値を見出した方は、6ドル台で購入していたかもしれません。

実際にPain社の株価の動きを見ていると、6ドル台で購入した人がいるのが分かります。

100%確実な将来などありませんが、この場面でPain社を購入した人はギャンブル的な要素にかけたのではなく、Pain社の将来を信じて最小限のリスクをとって行動したのだと思います。

Pain社が今後失敗する可能性はゼロではありませんが、多少のリスクをとってPain社を6ドル台で購入した人は将来大きなリターンが得られるのではないかと感じています。

CitigroupのアナリストはPain社のターゲット価格を7.5ドルに設定しており、7.5ドル以下に下がった時点でポジションをSellからHoldにアップグレードしました。この結果株価は盛り返し、昨日は7ドル代に回復し、7.31ドルで取引を終えました。

「早起きは三文の徳」のことわざに代表されるように、人と同じことをしていたのでは平均的な結果しか得られないなあと感じた出来事でした。